整形外科病院の外来に来られる患者さんの中には次のようにおっしゃる方が少なくありません。
痛くて眠れないから睡眠薬をください
もしくは
前にもらった睡眠薬ですが、今回もお願いします
痛みがあると、寝ようにもなかなか寝付けませんよね。
実は、入院患者さんも入院中だけ睡眠薬を飲むことが多いです。
痛くて眠れない
夜になって寝たいのに痛みが苦痛で寝付けない時って本当に精神的にも身体的にもつらいですよね。
そこで、そういうつらい時だけ眠りやすくするお薬をのまれる患者さんはたくさんいらっしゃいます。
寝ないと回復しようにもなかなか回復できません。
精神的にもストレスがたまります。
外来に来られる患者さんは自宅で過ごされることが多いので、まだストレス発散しやすく、睡眠導入剤がなくてもなんとかかんとか過ごせる方が多いです。
しかし、入院中の患者さんはストレスだらけの環境にあるので、痛みがなくても寝られない方って多いです。
食事も好きなものを食べれないし、同室者やスタッフにも気を遣うし、トイレやシャワーに思うようにいけないし。ベッドから動けない方もいらっしゃいます。
決まった時間に好きなことはできないし、WiFiのある病院なんて少ないし、将来のことも不安だし…
収入のことや家族のことが心配でおちおち入院もしていられないのに…
入院していると昼間あまり動く機会がないので、体自体は疲れていない状態なんですよね。
だから、疲れてない体で夜を迎えても眠れないんですよね…
夜、眠れないとどうなるか?
ろくでもないことばかり考えることになるんです。
これって不思議なんですが、人間ひまになるといろいろ考え始めます。
というか、思考がどんどん湧いてきてしまう、といった感じでしょうか。
1分間、目を閉じて何も考えずに過ごしてみてください。
できないんですよね、これが。
なんかどんどんいろんなことが湧いてきちゃうんです。
何も考えないことができない。
昼間、おひさまが出てて室内にも電気がついてて、みんなが活動中はいいのですが、夜中って暗くてしーんとしています。そういう状態で、らんらんと目だけが冴えて寝付けないと、心配ごとや不安・不満、怒りなどマイナスなことばかり湧き上がってくるんですよね…
これ、みなさんそうです。
夜はマイナスなことが湧き上がってきます。
わたしの経験上、毎日暇な人って他人の文句をよく言う傾向にありますが、これと同じような感じかもしれません。
勝手に湧き上がってくるのでどうしようもないんですけどね。
日々忙しくできたらいいですけど、入院中は忙しくできないので仕方がありません。
忙しい人は自分のことで必死なので文句を言う暇がありません。
ということで、入院中の方に痛みどめと睡眠導入剤をセットで出すことがよくあります。
睡眠薬と言っても様々な種類がありますが、たいていは睡眠導入剤といって軽いタイプのものを処方します。
お昼寝はだめ
睡眠導入剤をのむ患者さんによくあることなのですが、のむ時間が遅いと、朝おきにくくなります。
ですので、だいたい21時までにはのむことが多いです。
あと、外来患者さんの中で時々いらっしゃるのが、割と痛みもひいてきて元気に生活を送れるようになってきたにも関わらず睡眠導入剤を希望される方です。
先生、あの眠れる薬、また出しといて
う〜ん、痛みがひいてきても眠りにくい?
もうなくなったからちょっとは持っときたい
もう痛くないんだったらあんまり出したくないけど、まぁ、お守り代わりに少しだけ出しておきますね
ということで、ずっと長くのみたいと思われる方もいらっしゃいます。
しかし、睡眠導入剤をのまなくても眠れるようになることが、やはり理想的です。
しかも、今は整形外科で睡眠薬を定期的に出すということが難しいです。
昔は目薬でも風邪薬でもなんでもご希望に沿うことができていました。
入院も期限などあまり気にせず長く入院することができました。
しかし、残念ながら今はそういうわけにはいきません。
定期的に睡眠導入剤がほしい場合は内科などで受診をしなければなりません。
さて、そのような方に
お昼寝はされていませんか?
とおたずねすると
昼間、眠たくてちょっと寝ちゃいます
とおっしゃいます。
これがダメなんですね〜。
お昼寝しても夜に眠れる場合はいいのですが、夜に眠れないくらいお昼寝をしたらダメです。
もし、少しでもお昼寝をしたら夜眠れない、という場合は、つらいですがお昼寝をしてはダメです。
年をとるとともに睡眠パターンが変わってきますので、お昼寝をするなら夜眠れるように調整をしなければなりません。
難しいですが…
年をとってくると、早寝になりますが、夜中の3時とかに目が覚めてしまうこともよくあります。
そこから2時間ゴロゴロしてもまだ朝の5時。
仕方なく起きると、昼食後睡魔に襲われます。
そして、お昼寝をしたら今度は夜、寝つきが悪くなります。
それでも、朝は早く目が覚めてしまう。
そして、体がしんどいからお昼寝をして、また夜眠れなくて、と悪循環ですね。
結構みなさん苦労されています。
保育園の0〜1才の園児も、朝10時頃眠くなることが多いです。
でも、そこで10分でも眠ってしまうと、昼食後のお昼寝の時間に目をランランとさせて全く眠れなくなってしまいます。
すると、今度は夕方に睡魔がやってきます。
そうなると、家での食事が摂れなくなったりと悪循環になりますので、泣こうがわめこうが昼食が終わるまでは絶対に寝させないこともあります。かわいそうですが。
大人のみなさんにおすすめするのは、やはり疲れることですね。
睡眠導入剤を使わずに、夜から朝まで熟睡して、昼寝なしでも1日分のエネルギーをチャージできることが理想です。
疲れることって、簡単にできることはおひさまに当たることなのかな、と思います。
あとはできるだけ外に出て体を動かすことです。
それができない環境の方もいらっしゃるかとは思いますが、できる方はぜひ外に出ていつも以上に疲れてみてください。
夏に炎天下で海で泳いだりしたらものすごく疲れるイメージです。
ここまでしたら危険ですから、もう少し安全に行ってみてください。
みなさんが良質な睡眠をとることができますように。
読んでいただいてありがとうございました。
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