皆さんは、「医療」ときくとどんなイメージをお持ちですか?
・病気を治してくれるところ
・けがを治してくれるところ
・長生きできるようにしてくれるところ
・自分の気になっているところを治してくれるところ
・体を検査してくれるところ
・生活がしやすくなるように考えてくれるところ
・健康を保つように関わるところ
いろいろな意見が出てくると思います。
わたしは看護師をしてしますが、特に整形外科の分野が長いせいか、医療とは「メンテナンス」というイメージが年々強くなってきています。
加齢による変化
整形外科には、加齢によりあちこちの痛みが生じている患者さんがとてもたくさんいらっしゃいます。
これは、多くの方がたどる道で、わたしもいずれそうなっていくんだろうなぁ、と思っています。
例外として、畑をされている方はめちゃくちゃお元気な方が多いと思います。
体は元気だけど、手だけ具合悪い、という方も多いですね。
体は動かしておかないと動かなくなる、という事実を目の当たりにしていますので、少々しんどくても運動は絶対にしないといけないなぁ、と毎日感じています。
わたしも週1回は強度高めの運動をしていますが、日頃の生活ではついつい階段を使わずにエレベーターを使ってしまったりしています。
こういう積み重ねが将来大きな差になってくるんだろうなぁ、と思っています。
ちゃんと取り組まないとダメですね…
加齢による変化にどう対応していくか
とは言え、加齢による変形など、どうしても努力ではカバーできない痛みに対してどう関わっていけばいいのかわからなくなることもあります。
わたしの尊敬する医師はよくこのように患者さんにお伝えしています。
体も家と同じで、年とともにあちこちにガタがくるんですよ。
でも、ヒトの体というのは50年くらい修理をあまりしなくても、もつことも多いです。
そう考えたらすごいでしょ。
家なんか50年もあんまりメンテナンスしなかったら、もうボロボロですよ。
みんなおんなじで70年も80年も体を使ってきたら、そりゃあちこちに不具合が出てきます。
その不具合をどうにかしようと思っても、難しいことも増えてきます。
膝の軟骨がすり減ってる方は、ヒアルロン酸という注射をしますが、言わば「アブラをさす」ようなものです。
あとは、手術で治るものであれば手術をしたり、これ以上たてつけが歪まないようにリハビリをしたり、ね。
これは、大工さんに修理してもらう、みたいなもんです。
肩が痛くて腕が上がらない、なんてことは、引き戸の立て付けが歪んでスムーズに開けられない、っていうとらえ方です。
無理に引き戸を開けようと思っても開かないでしょ。
でも、ちょっとしたコツで開けやすくなったりするもんです。
そういうのをご自分の体に見つけていって、上手に今の状態に合わせて過ごしていく事が一番いい方法だと僕は思っています。
家でも、思いがけず水漏れが起きたり、虫がわいたり、いろんなことがありますけど、病気も同じです。
それに合わせて、手術をしたり、修理をしたり、取り除いたり、という風にその時その時に合わせて、一番いいと思われる方法をとっていかないと仕方ないです。
ずっと若くて新品できれいなまま、というのはあり得ないですからね。
体の不具合を受け入れる
この医師も、首の手術もしていますし、膝の手術もしていますし、指も曲がっています。
そのことは一切患者さんには伝えないですけどね。
でも、ご自身の状態にあわせて過ごしていらっしゃいます。
仕事も毎日バリバリされています。
好きなスポーツはもうされなくなりましたけど。
自分の体が不具合だらけだからこそ、患者さんに言えることばだと思います。
この概念がわたし自身、10年前にはあまり理解できていませんでした。
でも、今はこれが本当に大事なことだと思います。
また、他の疾患にも当てはまることだと思います。
糖尿病、高血圧、など身近すぎて、病気という概念が持てないような病気こそ、このメンテナンスの感覚が生きてくるのではないかと思います。
毎日内服をするだけでコントロールできるのでラッキーです。
手術のとらえ方
手術もそのように考えると、まさに「体の修理」と考えられると思います。
何歳にでも、突発的なことや思いがけないことって起こり得ます。
手術をしたくてもできないケースもたくさんありますから、まず手術が受けられる、ということは一つ大きなハードルをクリアした感じです。
手術をすると治りが早くなることが多いからです。
そう考えると、この世の中、体や家だけでなくメンテナンスをしながら使っていくものって本当に多いですよね。
携帯、時計、電化製品、スポーツで使う道具、靴やカバン、などなど…
医療も、がんなどの病気や怪我だけでなく、自分に不都合なシミやホクロをとったり、顔の整形、などもある意味、その人にとって生きていく上でのメンテナンスだと言えると思います。
メンテナンスには大きいものから小さいものまで様々ありますが、みなさまがよりよいメンテナンスに恵まれますように。
読んでいただいてありがとうございました。
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