「ひざの痛みに市販のサプリは効きますか?」
これは実際に私の目の前で患者さんが医師に聞いていたことです。
5人の異なる患者さんが5人の異なる医師に同じ質問をしていたにも関わらず、5人の医師が全員同じ回答をしていました。
結構多い質問だと思いますので、もし興味のある方はぜひ読んでみてください。
医師はサプリをすすめるか?
体に痛みがあると、藁にもすがりたいおもいになりますよね。
テレビなどでもいろいろなサプリのコマーシャルをしています。
例えば、膝の痛みで悩んでいたのがサプリを飲んだら改善した、というものです。
さて、医師はサプリをどのようにとらえているのでしょうか。
膝の痛みには慢性的なものと急性的なものがあります。
膝の痛みでサプリをのもうと考えている方は、おそらく慢性的に膝の痛みをかかえていらっしゃると思います。
その原因としてはさまざまなものがありますが、大まかに言えば、加齢性のものであることが多いです。
例えば軟骨がすり減って痛みが生じている場合や、変形性膝関節症といって膝の形が変形している場合などです。
そういった膝にサプリが効くかどうか、ということです。
医師の見解をお伝えする前に、一つ申し上げておきたいことは、サプリが「効く人もいる」ということです。
サプリにも様々ありますが、例えば軟骨にアプローチするとうたっているサプリがあるとします。
これが効いた方は、たまたま症状が改善する時期にあったかもしれませんし、プラセボ効果といって、効きめがあると思いこんでのむと実際に効いて症状が改善することがあるのですが、それかもしれません。
もしくは、サプリの成分が何らかのかたちで効いたかもしれません。
サプリで症状が改善されたなら、それほどラッキーなことはないと思います。
実際の5人の医師の回答は?
「膝の痛みに市販のサプリは効きますか?」
さて、この質問に対する5人の医師の答えをお伝えしますと、全員まず患者さんにこのように言っていました。
のみたかったらのんだらいいですよ
一見つっけんどんな印象があるかもしれませんが、この一言にはなかなか奥深い意味があると私は思っています。
どの医師もまずこの一言だけを患者さんに言っていました。
これには、患者さんのおもいを否定したくない、という医師の気持ちがあると思います。
しかし、正直のんでもあまり改善がみられない可能性が高い、でも、頭ごなしに否定するものでもないし、好きにしたらいいよ、体に大きな害はないだろうし、話も長引かせられないし、ということで
「のみたかったらのんだらいいですよ」
という一言になるわけです(私の推測)。
「わかりました」とか「そうですか」とひきさがる方もいらっしゃいますが、
サプリの名前が書いてある紙を取り出して、「これなんですけど、どうですかね?」と聞く方もいらっしゃいます。
正直、医者はサプリについて熟知しているわけではないので、それを見せられても何のことかわからないと思います。
実際、その紙をみようとする医者はいませんでした。
さて、さらに期待に胸を膨らませて「効きますかね?」とたずねてくる患者さんに対して、医師は「効きませんよ」とは絶対に言わないでしょう。
理由は先ほど書いた通りです。
しかし、軟骨がすり減って上の骨と下の骨がもうあたってしまっているお膝に対して、サプリがどれほどの効果を発揮するのか、というところです。
「効きますかね?」の質問に対しては、これまた面白いことに、医師5人ともこう答えていました。
わたしならのまないけど
それでも、「いや〜、コマーシャルで効くって言ってたから〜」と追求してくる患者さんに対しては、ある医師はこう答えていました。
あなたのお膝は軟骨がすり減っているから痛みがおこっています。そのサプリをのんで、もし軟骨がもりもりともり返してくれたらそのサプリはもう薬になっているでしょう。そんなサプリがあったら医者は要らないよ。
ここまで言われると、患者さんは何となく期待していた答えが返ってこなくて残念そうな感じになりながら診察室をあとにされます。
そんな薬があったらいいのにな〜、と思います。
まとめとおすすめ
今回は軟骨がかなりすり減っている患者さんからの質問とそれに対する医師の答えをありのままに書きました。
私はサプリを決して否定していません。
サプリをのんでみたら膝の調子のみならず体調まですごくよくなった、とか、何かいい変化があるかもしれません。
気になることがあれば、できる範囲で取り組んでみるといいと思います。
試してみなければ、どのようないい効果を発揮してくれるかわかりません。
いろいろと研究して作られているでしょうし、皆さんの症状が少しでも楽になるようにと作られていると思います。
しかし、毎月お金がかかるし、何か情報がほしいな、と思っていらっしゃる方はよかったら参考にしてみてください。
お膝の状態は個々によって違いますから、一概には言えませんが、上記のパターンが多いかもしれませんね。
この質問が多い理由の一つには金銭的な負担というものがあると思います。
なので、お金に余裕のある方はのんで試してみたらいいと思います!!
のむのまない、いずれにせよ、私がお勧めするのは「太ももの筋肉をつける」ということです。
太ももの前の筋肉が弱いとお膝の関節がゆるむのです。
ゆるむと痛みも出やすくなります。
それを予防するために、太ももの前の筋肉をつけるよう指導することは実際に診察室でもよくあることです。
膝を伸ばして座った状態で、膝裏をピンと伸ばして、足首を90度にしたまま足先を少し持ち上げるようにしてみてください。
太ももの前面にグッと力が入っていればOKです。
手で太ももの前面を触ってみたらよくわかります。
椅子に座ったり、背もたれのある床でしてもOKですよ。
とにかく、自分の筋肉で関節を守ることは有効です。
もう少し負荷をかけたい場合は、椅子に座って膝を伸ばして、ペットボトルなどをレジ袋に入れたものを足先にかけてください。
でも、無理はしないでくださいね。
筋肉が落ちる前に筋肉をつける努力をする。
筋肉が落ちたら筋肉をつける努力をする。
もし、体重が重めの人は体重を減らして膝への負担を減らす。
これが大切なことかと思います。
医療はあくまでもお手伝いです。
基本的には自分で自分の体を守るしかありません。
最終手段としては膝の人工関節置換術というものがありますが、サプリだけに頼らず、自分の体を実際に動かして努力していくこともしていきたいですね。
そして、皆様の苦痛が少しでも軽減しますように。
今回もざっくりとした内容になりましたが、皆様のお役にたてれば嬉しいです。
読んでいただいてありがとうございました。
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